ドライアイについて
朝、目が開きにくい。
夕方になると目が重く、画面の文字がぼやける。
コンタクトレンズが午後からゴロゴロして、外したくなる。
「歳のせいかな」「疲れているだけ」とやり過ごしてはいませんか? それは、あなたの目から発せられている小さなサインかもしれません。
ドライアイは、国内で1,000万人以上とも推計される、現代でもっとも身近な眼の病気のひとつです。スマートフォン、長時間のデスクワーク、コンタクトレンズ装用、エアコン環境
──私たちの暮らしは、知らず知らずのうちに目を乾燥させています。
たかが乾き目、と侮ることはできません。放置すれば角膜が傷つき、見え方の質が落ち、頭痛・肩こり・集中力低下にまで影響します。そして、ドライアイの背後に別の眼疾患や全身疾患が隠れていることも、決して珍しくはありません。
当院でドライアイ診療を受ける3つのメリット
1. 「市販目薬で治らない乾き」の原因を、幅広い視点で見極めます
ドライアイの原因は、人によって大きく異なります。 長時間のPC作業によるまばたきの減少、コンタクトレンズの長期装用、加齢、エアコン環境などの「環境要因」だけではありません。シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、糖尿病、降圧薬や抗うつ薬・睡眠薬の副作用、緑内障の点眼治療による表面障害、移植後のGVHDなど、「全身疾患や他の眼疾患と結びついた」原因も少なくないのです。
当院は白内障・緑内障・網膜硝子体疾患まで一貫して診療しています。だからこそ、「乾き目」のひと言で済ませず、その背後に隠れている要因まで含めて評価できます。
2. ガイドラインに沿った「タイプ別」の精密診断
日本のドライアイ診療ガイドラインでは、ドライアイを「涙液層の安定性が低下する疾患」と定義し、タイプを見極めたうえで治療することが推奨されています。
当院では、シルマー検査・BUT検査(涙液層破壊時間)・細隙灯顕微鏡・角膜染色・マイボーム腺の評価まで含めて精密に診断します。
そして、涙の膜の「どの層」に問題があるか──油層・液層・ムチン層・角結膜上皮──を見極め、あなたのタイプに合った治療をご提案します(この考え方を眼科ではTFOT=眼表面の層別治療と呼びます)。
3. 点眼から涙点プラグまで、ステップアップ式の「効く治療」
ドライアイ治療は、「目薬を1本処方して終わり」では十分でないことがしばしばあります。当院では、まず生活指導とセルフケア(温罨法など)、適切な点眼薬の選択から始め、それでも改善が乏しければ涙点プラグなど次のステップへ進みます。「同じ目薬を出し続ける」のではなく、「効いていなければ次の一手を打つ」──この当たり前の積み重ねが、ドライアイ改善の近道です。
将来、白内障や緑内障など他の眼科治療が必要になった場合も、ドライアイの管理を含めて当院で一貫して対応できます。
ドライアイとは
涙の量が減ったり、涙の質が悪くなったりして、目の表面を覆う「涙の膜(涙液層)」が不安定になり、さまざまな眼症状を引き起こす状態をドライアイと言います。
涙の膜は本来、角膜(黒目の表面)を覆って酸素や栄養を届け、外的刺激から目を守る大切な役割を担っています。この膜が崩れると、角膜は「皮膚で言うところの肌荒れ」と同じ、傷つきやすい状態にさらされ続けることになります。
こんな症状はありませんか
- 目が乾く、ショボショボする
- 目がゴロゴロする、異物感がある
- 目が疲れやすい、夕方になると見えづらい
- 光がまぶしく感じる
- 目が充血しやすい
- 涙が出やすい(実は反射性の涙が増えているサインのことも)
- コンタクトレンズが午後から不快になる
- 朝、目が開きにくい・目やにが多い
ひとつでも当てはまる方は、一度きちんと診察を受けることをおすすめします。
涙の膜は「3層構造」── 最新のドライアイの考え方
意外に知られていませんが、目の表面を覆う涙の膜は、わずか数ミクロンの中に3つの層が重なってできています。
このどれかひとつでも欠ければ、涙の膜は不安定になり、ドライアイの症状が出てきます。
「乾く」と一口に言っても、どの層が足りないか・うまく働いていないかは人によって違います。日本のドライアイ診療ガイドラインでは、足りない層を見極めて補うというTFOT(眼表面の層別治療)という考え方が提唱されており、現代のドライアイ治療の中心となりつつあります。
「市販の目薬を差しても良くならない」という方の多くは、実は「足りない層と、補っている層が合っていない」のかもしれません。
ドライアイの3つのタイプ
涙液減少型 ── 涙の量そのものが足りないタイプ
涙の本体である「液層」を分泌する涙腺の働きが落ちているタイプです。
- 主な原因
- 加齢、薬剤(降圧薬・抗うつ薬・睡眠薬・抗ヒスタミン薬・緑内障点眼など)、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、糖尿病、移植後のGVHD(移植片対宿主病)、ストレス
特にシェーグレン症候群は、口の渇きと共に目の乾きが強く出る病気で、リウマチや他の膠原病を合併することもあります。「異常なほど目が乾く」「口も渇く」という方は、ぜひご相談ください。
蒸発亢進型 ── 涙はあっても、すぐ蒸発してしまうタイプ
「油層」のふたが弱く、涙が早く蒸発してしまうタイプです。実は、ドライアイ患者さんの多くがこのタイプ、もしくはこのタイプを併せ持っていると言われています。
- 主な原因
- マイボーム腺機能不全(MGD)、長時間のVDT作業(PC・スマートフォン)によるまばたきの減少、コンタクトレンズの長期装用、乾燥環境(エアコン、冬季)、喫煙
まつ毛の生え際にあるマイボーム腺は、涙の蒸発を防ぐ「油」を出す大切な腺です。ここが詰まると油が出にくくなり、涙はすぐに蒸発してしまいます。後で詳しくご紹介する温罨法(おんあんぽう=目を温めるケア)は、このタイプにとって治療の柱になります。
BUT短縮型 ── 涙の量は正常でも、膜がすぐ崩れるタイプ
近年特に注目されているタイプで、涙の量は十分にあるのに、目の表面で膜が早く崩れてしまう状態です。「ムチン層」の異常や、角膜表面の「水濡れ性」の低下が背景にあると考えられています。
- 主な原因
- 長時間のVDT作業、コンタクトレンズ装用、ストレス、加齢
このタイプはシルマー検査では正常値が出ることが多く、見逃されやすいのが特徴です。「目薬を差しても症状が改善しない」「乾きより目の疲れや見えづらさが強い」という方は、このタイプの可能性があります。ムチンの分泌を促す新しい点眼薬(ジクアス・ムコスタ)が有効とされています。
検査の流れ
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問診
普段の症状、お仕事や目を使う時間、コンタクトレンズの使用状況、内服中のお薬、ご持病、口の渇きの有無などを丁寧にお伺いします。ドライアイの原因はライフスタイルや全身状態と深く関わっているため、この問診がとても重要です。
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細隙灯顕微鏡検査
専用の顕微鏡で、角膜・結膜・まぶたの縁・マイボーム腺の状態などを観察します。角膜に傷がついていないか、まぶたに炎症はないか、マイボーム腺が詰まっていないかも確認します。
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涙の質を調べる(BUT検査)
色素を点眼してまばたきの後、涙の膜がどのくらいで乱れるかを測定します。5秒以内で膜が崩れる場合、ガイドライン上ドライアイと診断されます。
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涙の量を調べる(シルマー検査)
まぶたの縁に細い専用ろ紙を挟み、5分間で濡れる長さを測ります。涙の分泌量を客観的に評価できます。
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角膜染色
色素で角膜・結膜を染色し、傷の有無や場所を細かく観察します。傷の場所によって、どのタイプのドライアイなのかも推測できます。
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マイボーム腺・眼瞼縁の評価
蒸発亢進型(MGD)の見極めに重要なステップです。マイボーム腺の開口部の状態、油の分泌状況、まぶたの縁の炎症などを評価します。
これらの検査結果を総合して、あなたのドライアイがどのタイプか、涙の「どの層」に問題があるのかを判定し、最適な治療プランをご提案します。
治療について
ドライアイの治療は、「乾く原因を取り除く」ことと「足りないものを補う」ことの両輪です。ガイドラインに沿って、まずは生活指導とセルフケアから始め、点眼療法、必要に応じて涙点プラグへとステップアップしていきます。
1. 生活指導・環境調整
治療の入り口であり、もっとも再発予防に効果的な要素です。
- 1時間に1回は数分、画面から目を離す(20-20-20ルール:20分ごとに20フィート=約6m先を20秒見る)
- 意識的にまばたきをする(PC作業中は、まばたきが普段の半分以下に減ると言われています)
- 加湿器でお部屋の湿度を保つ(湿度50〜60%が目安)
- エアコンの風が直接顔に当たらないようにする
- コンタクトレンズの装用時間を短くする・装用しない日を作る
- 十分な睡眠と栄養(オメガ3脂肪酸を多く含む青魚やナッツ類は、涙液層の安定に良いとされ、ガイドラインでも内服が推奨されています)
- 喫煙は控える
2. 温罨法(おんあんぽう)── 目を温めるセルフケア
蒸発亢進型ドライアイ(MGD)の方にとって、もっとも基本的で大切なセルフケアです。マイボーム腺が分泌する油は、体温よりやや高い温度(約40℃前後)で溶け出し、流れやすくなります。目を温めることで、詰まった油を溶かし、涙の蒸発を防ぐ油層をしっかり作る助けになります。
ご家庭での温罨法のやり方
- 蒸しタオル、または市販のホットアイマスク(電子レンジで温めるタイプ・使い捨てタイプ)を用意します
- 40〜45℃を目安に、まぶたを閉じた状態で5〜10分温めます
- 朝・晩の1日2回が理想です(症状が軽い方は1日1回でも可)
- 温めた後、清潔な指でまぶたの縁を軽くマッサージすると、より効果的です
- 熱すぎるタオルは皮膚や眼を傷める原因になります。必ず手で温度を確認してから使ってください
- 角膜に傷がある場合や、眼瞼の感染症がある場合は、温罨法を中止し医師にご相談ください
- コンタクトレンズは外してから行ってください
「目薬だけ差していてもなかなか改善しなかった方が、温罨法を続けることで楽になる」というのはよくあるケースです。地味ですが、効果のある治療法です。
3. 眼瞼清拭(がんけんせいしき)── まぶたを清潔に保つ
まつ毛の根元には皮脂や汚れがたまりやすく、これがマイボーム腺の出口を詰まらせる原因になります。専用のリッドクリーナー(市販されています)や、清潔なガーゼで眼瞼縁をやさしく拭くケアも、MGDタイプの方には有効です。
温罨法とあわせて行うと、より効果的です。
4. 点眼療法
涙のどの層に問題があるかに応じて、点眼薬を組み合わせて使います。
① 人工涙液・ヒアルロン酸点眼(液層を補う)
涙の量を補い、表面を保護する基本的な目薬です。防腐剤の入っていないタイプを頻回に差せる方が、角膜への負担が少なく望ましいとされています。「市販目薬を1日10回以上差している」という方は、防腐剤の影響でかえって角膜を傷めていることもあります。
② ジクアス®(ジクアホソル)点眼 ── ムチン層と水分を補う
日本のガイドラインで実施を推奨されている、ドライアイ専用の点眼薬です。結膜からのムチン分泌と水分分泌を促し、涙の膜の安定性を改善します。BUT短縮型や蒸発亢進型のドライアイに特に有効です。
③ ムコスタ®(レバミピド)点眼 ── ムチン層を補う
こちらもガイドラインで実施を推奨されているドライアイ専用点眼薬です。ムチン分泌を増やすことで、涙の膜を安定させ、角膜の傷を改善します。シェーグレン症候群に伴うドライアイにも有効性が確認されています。
④ 抗炎症点眼(短期)
まぶたや角膜の炎症が強い場合に、短期間ステロイド点眼を使用することがあります。眼圧上昇などの副作用があるため、必ず医師の管理下で使います。
「市販の目薬を毎日何度も差している」という方は、ぜひ一度受診を。あなたのタイプに合った、より効果的な点眼薬があるかもしれません。
5. 涙点プラグ療法
点眼療法だけでは改善が乏しい場合、涙の排出口である涙点にプラグ(栓)を挿入する治療を行います。ガイドラインでも、点眼治療より自覚症状・涙液安定性・角結膜上皮障害を改善するとして実施を推奨されている治療です。
- シリコン製プラグ:小さな栓を涙点に挿入し、涙を目の表面に留める仕組みです
- コラーゲン製プラグ:自然に吸収されるタイプで、お試しとして使うこともあります
当院での涙点プラグ治療
- 処置は外来で短時間で行えます
- 麻酔の点眼を使用するため、痛みはほとんどありません
- シリコン製は必要があれば取り外しが可能で、可逆的な治療です
- 涙液減少型ドライアイ・シェーグレン症候群の方に特に有効です
6. 原因疾患・誘因への対処
背景にシェーグレン症候群や糖尿病などの疾患がある場合は、必要に応じて他診療科との連携も行います。緑内障点眼によるドライアイなど、薬剤性が疑われる場合は処方内容(防腐剤フリー製剤への変更など)の見直しも検討します。
放置するとどうなるか
「目薬を差せば大丈夫」と軽く考えがちですが、ドライアイを放置すると次のような影響が出てきます。
- 角膜の表面が慢性的に傷つき、見え方の質が低下する(点状表層角膜症など)
- 眼精疲労が常態化し、頭痛・肩こり・集中力低下を招く
- コンタクトレンズが装用できなくなる
- 角膜の感染症リスクが上がる
- 将来、白内障手術や屈折矯正手術(LASIK・ICL)を受けるときに、術後の不快症状が長引きやすくなる
重症化すると、糸状角膜炎や角膜上皮欠損など、より治療が難しい状態に進むことがあります。
ドライアイは「治る/治らない」よりも「上手に付き合い、コントロールする」病気です。早めに正しい診断を受け、自分のタイプに合った治療を続けることが、長い目で見て目を守る最善策です。
よくあるご質問
- 市販の目薬で対処していますが、受診した方がよいですか?
- 市販目薬で一時的に楽になっても、原因に合っていなければ症状は繰り返します。また、防腐剤入りの目薬を頻回に使うと、かえって角膜を傷めることがあります。さらに、ドライアイのタイプによっては「ムチン分泌を促す目薬」など処方でしか使えない有効な選択肢があります。一度、原因まで含めた評価を受けることをおすすめします。
- 治療を始めて、どれくらいで良くなりますか?
- 軽症であれば点眼薬と生活改善で数週間で楽になる方が多いですが、マイボーム腺機能不全(MGD)が背景にある場合や中等症以上では、数か月かけて少しずつ改善していくこともあります。タイプに合った治療を継続することが大切です。
- 温罨法は本当に効果がありますか?毎日続けないとダメ?
- 蒸発亢進型(MGD)のドライアイにとって、温罨法はガイドラインや海外の眼科学会でも推奨されているセルフケアです。マイボーム腺の油は40℃前後で溶けるため、温めることで詰まりが改善し、涙の蒸発が抑えられます。理想は朝晩の1日2回ですが、まずは1日1回からでも続けることが大切です。続けるほど効果が出やすくなります。
- コンタクトレンズを使い続けても大丈夫ですか?
- ドライアイがある場合、コンタクトは症状を悪化させる要因になりがちです。当面は装用時間を短くする、装用しない日を設けるなどの工夫をおすすめします。眼鏡との併用やコンタクトの種類変更(含水率や素材の見直し)も含めてご相談ください。
- 涙点プラグは痛くないですか?取り外せますか?
- 点眼麻酔を使用しますので、強い痛みを感じることはほとんどありません。シリコン製のプラグは必要があれば取り外しが可能な、可逆的な治療です。当院ではガイドラインの推奨に沿って、点眼治療で十分な効果が得られない方に適応を慎重に検討し、ご提案しています。
- ドライアイは子どもにもありますか?
- はい、あります。スマートフォンやタブレットの使用時間が長い小中学生にも見られるようになりました。お子さまの目の充血や疲れ、瞬きの異常、目を細める仕草などが気になる場合は、ぜひご相談ください。
- シェーグレン症候群と言われましたが、目の治療はどうすればいいですか?
- シェーグレン症候群に伴うドライアイは涙の量そのものが減るため、ヒアルロン酸点眼・ジクアス点眼・ムコスタ点眼・涙点プラグなどを組み合わせて治療していきます。ガイドラインでも有効性が確認されている治療です。リウマチ科など他科と連携しながら、目の症状をしっかりコントロールしていきます。
- 受診の頻度はどのくらいですか?
- 症状や治療内容により異なりますが、最初は2〜4週間ごとに状態を確認し、安定すれば数か月ごとの定期チェックに移行することが多いです。
- 検査だけ受けることはできますか?
- もちろんです。「市販の目薬で良いのか、ちゃんと診てもらった方が良いのか分からない」という段階でのご相談も歓迎しています。
まずはご来院ください
ドライアイは、ご自身でタイプを判断するのが難しい病気です。「いつもの乾き目」だと思っていたものの背景に、別の原因が隠れていることもあります。
長く付き合っていく目だからこそ、早めに正しい診断と治療を受けることが、これからの見え方の質を守る一番の近道です。
錦糸町おおかわ眼科は、JR錦糸町駅南口より徒歩1分。お仕事帰り・お買い物のついでにも通っていただきやすい立地です。一般眼科から日帰り手術まで対応する眼科として、地域の皆さまの目の健康をお守りしています。
「ちょっと気になる」その段階で、お気軽にご来院ください。