白内障とは
ほぼ無色透明の水晶体が何らかの原因によって混濁し、様々な眼症状が出現してくる状態を白内障と言います。水晶体はカメラに例えるとレンズの働きをする組織で、透過性が高く、外から入ってくる光は水晶体を通り網膜へと到達します。ただこの水晶体が何らかの原因で混濁してしまうと、屈折異常による複視（物が二重に見える）、光が散乱することによって異常にまぶしく感じる（羞明）、十分な光量が網膜に到達しなくなることによる視力低下、目がかすんで見える（霧視）などの症状がみられるようになります。
白内障でみられる主な症状
- 物がかすんで見える
- 明るい場所にいるとまぶしく感じてしまう
- 老眼鏡や眼鏡をかけても物がよく見えない
- 物が二重に見える（複視） など
原因について
発症の原因は一つではありませんが、最も多いのが加齢に伴って水晶体が白濁していく加齢性白内障です。発症率は年齢が上がるにつれて上昇します。早ければ40代で発症し、70歳以上の方では程度の差はありますが、5人に4人は白内障を発症するようになります。
上記以外の原因としては、他の眼の病気（ぶどう膜炎、緑内障 等）をきっかけにした続発性白内障のほか、全身の病気（糖尿病、アトピー性皮膚炎 等）に合併する白内障、ステロイド薬の長期投与など薬物の使用が原因となる薬物性白内障、眼球打撲や水晶体が直接的な損傷を受けることで発症する外傷性白内障などがあります。また先天的な白内障として、出生まもなくの頃から幼少時に発症する先天白内障もあります。この場合、胎児の時期に母子感染をして発症する先天性風疹症候群をはじめ、代謝異常、遺伝的要因などが挙げられます。
濁り方には種類がある
なお水晶体の濁り方に関しては、いくつか種類があります。加齢性白内障では、水晶体の周囲にある皮質から濁っていくことが一般的です。特徴としては、初期から自覚症状が出にくいということがあります。また水晶体の中心部から濁り始めることもあります。これを核白内障と言います。中心部が濁ることでその部分は硬くなって、屈折率が高くなります。そのため老眼の方であれば、手元が見えやすくなったと感じることもありますが、病状が進行すれば視力は低下するようになります。
このほか、ステロイドを長期投与された際によく見受けられる水晶体の後方から白濁していく後嚢下白内障、主にアトピー性皮膚炎がきっかけとなって水晶体の前方部分から混濁していく前嚢下白内障もあります。これらは、普通の明るさであっても目がまぶしく感じられるようになります（羞明）。
検査について
訴えや症状から白内障が疑われる場合、診断をつけるための検査をします。具体的には、問診や視力検査のほか、細隙灯顕微鏡を使用して光を眼球に斜め方向に当て、水晶体の濁りの程度を確認していきます。このほか、他の病気（緑内障 等）の可能性も調べるために眼圧検査や眼底検査も行っていきます。
治療について
白内障と診断されても日常生活に支障がなければ、定期的に検査を受けながら経過観察するだけで済む場合もあります。また濁りの程度が軽度であれば、点眼療法による治療となります。ただこの場合は、完治させる治療ではなく、病状の進行を遅らせる効果しかありません。そのため、日常生活に不便を感じるようになれば、手術療法による治療となります。具体的には、白濁した水晶体を取り除いて、その代わりとなる人工（眼内）レンズを入れるという内容になります。かつては入院しての手術が一般的でしたが、現在は日帰り（外来）による白内障手術が主流となりつつあります。当院でも、手術が必要と判断した場合は、日帰り白内障手術を行っています。
